研究概要
天然物由来グリコサミノグリカンの構造解析とその生理作用に関する研究

当研究室では、プロテオグリカン(PG)の蛋白質部分に共有結合したグリコサミノグリカン(GAG)に注目して、その微量定量法、質量分析、NMRによる構造解析法の開発を進めてきた。更に高感度で信頼性の高い分析法の確立に努めつつ、天然物又は生体試料中に含まれるGAGを網羅的に解析している。またGAGの化学修飾法や糖鎖構造を維持したまま分解する手法の開発も行っている。これらの手法を最大限利用して、GAGの構造と生理作用との相関について詳しく解析している。

硫酸化多糖類の免疫系への関与

コンドロイチン硫酸(CS)の生理作用は、保湿や軟骨保護作用の他、海馬神経の軸索伸長や免疫調節作用を有することが知られている。最近OVA感作マウスにCSを経口投与するとOVAによるアレルギー反応が軽減すること明らかにした。GAGは動物に認められ植物には存在しない。一方植物ではGAGの代わりにフコイダンやガラクタン等の硫酸化糖鎖の存在が知られている。現在OVA感作マウスの脾細胞などを用い、植物や海藻中から精製した硫酸化糖鎖がどの様な生理作用を有するのか、その詳細を解析している。

ポリアミンと相互作用する生体分子の機能研究

ポリアミン(プトレスシン、スペルミジン、スペルミン)は全ての生物に普遍的に存在する生理活性アミンである。ポリアミンは特にRNAとの相互作用を介して蛋白質合成を制御し、細胞増殖の促進に寄与することを当研究室では明らかにしてきた。また、生体内で唯一eIF5A蛋白質をハイプシン化する翻訳後修飾にスペルミジンが基質としても使われ、細胞機能に必須の蛋白質である。ポリアミンが相互作用する生体分子は様々あり、それらの細胞における機能に注目して研究を行っている。

細胞障害性疾患とアクロレインに関する研究

ポリアミンの分解により産生されるアクロレインは非常に強い毒性を示すアルデヒドである。当研究室のこれまでの研究により、細胞障害性を伴う疾患、特に脳梗塞において血中アクロレイン量との相関性を見出してきた。現在、脳梗塞モデルマウスを用いたアクロレイン産生の分子メカニズムや尿中アクロレイン代謝物の分析法の開発などを行い、他の細胞障害性疾患におけるアクロレイン産生にも注目して研究を行っている。